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9/17/2024
【インタビュー】石原拓馬が顧問を務める石和中学野球部が「山梨県総体準優勝」し関東大会に出場できた理由
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予想外のルートで、ファイアーウィンズのビジョン達成に貢献してくれた石原
山梨ファイアーウィンズに練習生として所属する「石原拓馬」だが、普段は笛吹市立石和中学校の軟式中学野球部の顧問を務めており、選手と指導者というある種の二刀流を実践している選手である。
その石原が顧問を務める石和中学の野球部が「山梨県総体準優勝」をし、関東大会に出場するという快挙を達成した。その背景にはファイアーウィンズで実践したことを、選手たちに還元することができたからと加藤球団代表と報告があった。
ファイアーウィンズは山梨県民球団として、県内の野球レベルアップを1つのビジョンに掲げており、U-12チームの発足なども行っている。
しかし、想定外のルートで石原がこのビジョンへ貢献をしてくれた頃に興味を持った加藤球団代表が、どんな想いで中学生に指導をしたのかなどを詳しく聞いた。
その内容をインタビュー記事として以下にまとめる。
「不可能」や「できない」ことを言い訳にしない
(左:加藤幹典球団代表、右:石原拓馬)
(以下、加藤幹典球団代表の発言→加藤、石原拓馬の発言→石原とする。)
◇ ◇ ◇
加藤:山梨ファイアーウィンズで活動していて為になったことはなんですか?
石原:プロ野球を目指す選手の考え方や、練習方法、野球に対する向き合い方を学びました。また、「指導者は学び続けなければいけない」ことを改めて学びました。
加藤:山梨ファイアーウィンズを通して生徒に何を伝えられましたか?
石原:野球に対して本気で取り組む姿勢や「不可能」や「できない」ことを言い訳にしないことです。自分みたいに若くはなくても、野球の技術向上のために学び、考え、実践していくことを伝えました。
加藤:石原くんにとって山梨ファイアーウィンズとはなんですか?
石原:一番難しい質問ですが、私にとってのファイアーウィンズは、「学びを実践する場」です。自分が感じとったこと、子供たちに指導していることを自分自身が試すことで、本当に正しいアプローチができているのか、もっとよいコーチングができるのではないかと考える場であります。
加藤:野球を通じて学んだ一番重要な教訓は何ですか?
石原:やはり「人間力」です。ファイアーウィンズの選手たちと交流を深める中で、上達していく選手は人間力が高いと思います。
石和中の生徒にも同じような話をしますが、3年間で上達する生徒はやはり同じように人間力が高い生徒が多いです。中学校から野球を始めた生徒でも、人間力が高い生徒はチームの中心選手になることがあります。
加藤:チームでのコミュニケーションの取り方や、チームワークのコツはありますか?
石原:ファイアーウィンズでの練習ではできるだけ年齢が上だとかに関わらず、率先して雑用をするようにしています。皆、気を遣ってくれるのですが、グラウンドの中では選手という意味では対等だと思うので、そうしています。石和中においても、3年生が積極的に雑用をするように声をかけています。これも、「人間力」に関わる部分かもしれません。
加藤:一番効果的だったトレーニングや練習方法は何ですか?
石原:屈筋と伸筋の考え方です。ピッチャー指導において悩んでいたのですが、この感覚だけでもかなり効果がありました。実際自分自身も長年肩肘の炎症が続いていたのですが、負担が減って投げられるようになってきました。
また、アジリティの考え方については、中学校の指導者の中でアジリティメニューが流行っていたのですが、その内容に疑問が自分自身あったものが、森トレーナーの指導で確信に変わったことがありました。
加藤:スランプに陥った時、どのようにして乗り越えましたか?
石原:正直、野球人生の中で「今が一番上手い」と思っているので、そのように感じることはありませんが、ゼンマッチで確認した自分のパワーポジションは大切にしようとしています。
加藤:試合中に集中力を保つための秘訣は何ですか?
石原:「声をかけ続けること」と「活躍をイメージすること」です。
実際に、7月4日の紅白戦で、私たちのチームは「勝つために次の選手に繋ぎ確実に点をとること」をテーマに試合に臨みました。そのために、必要な場面で全員が声をかけ続け、最終回に4点差をひっくり返して逆転することができました。「自分が打って返す」というイメージを持ちながら、打席に立ち、イメージ通りにタイムリーを打つこともできました。
この経験も石和中の生徒に伝えることができ、県大会で1点差のゲームを集中力を欠かすことなく勝ち切ることができたのだと思います。
加藤:自分のポジションで特に大切にしているスキルや心構えはありますか?
石原:細かいことかもしれませんが、ファーストを守らせてもらっていて、ピッチャーの牽制や、内野手のスローイングに柔軟に対応しなければならないと感じました。そこで、反応速度が若い時より落ちていると感じたので、初めからベースを踏まずに、送球に対して正対して構えるようにしたところ、自分の中でハマりました。
石和中のファーストの生徒も同じように牽制や送球が取れないことがあったのですが、このスキルを試してみたところ、牽制や送球時のエラーご激減しました。
加藤:試合後のリフレクションや振り返りをどのように行っていますか?
石原:自分自身は、家庭があるので、子どもたちが寝たあと、一人になった時間にトレーニングをしながら振り返ります。納得ができていないときはバットを振りまくります。
石和中では、もう一人の顧問が監督をしているので、2人で試合後の振り返りを短時間でも行います。
生徒には次の練習で課題を修正させていきました。
加藤:野球を続ける中で一番成長したと感じた瞬間はどんな時でしたか?
石原:自分のイメージと体の動きがマッチしたときです。
ファイアーウィンズの練習に参加するたびに、成長を感じていますが、特に紅白戦などで結果を残せた時は成長を感じます。
石和中の顧問としては、本校勤務七年目になりますが、毎年教えることや伝えることが変わり続け、毎年チームが強くなり続けていることが、大きな成長だと感じます。
加藤:試合前に行うルーチンやジンクスはありますか?
石原:自分自身は、打席に入ったときに自分自身のパワーポジションを確認します。
石和中では、2年ほど前から、試合前のキャプテンの話をなくし、3年生が一人一人交代で声掛けを行っています。全員が主役であるということ、チームの一員であることを意識させるために行っています。
加藤:野球を通じて得た仲間との思い出で、一番印象深かった出来事は何ですか?
石原:やはり試合に勝つことです。5年前石和中で監督をさせてもらった時は、40試合ほど練習試合をしましたが、ほとんど負けて、勝てたのは2試合ほどでした。
しかし、勝つことで意欲が上がり、目に見えて成長したのを覚えています。
苦しい中でも勝てた試合や、強豪校、格上相手に勝てたとき、そんなときに大きく成長することができるのではないかと考えます。
ファイアーウィンズが初勝利したとき、現場にいることができませんでしたが、結果を聞いてすごく嬉しかったことを覚えています。
◇ ◇ ◇
石原と石和中学野球部の活躍は、山梨県民球団としてのビジョン達成へ大きく貢献してくれました。
指導者の質を上げることが重要だと以前から思っていましたが、石原のおかげでそれが確信に変わりました。
山梨のレベルを底上げするために、指導者のレベルアップに向けてできることも考えていきたいと思っています。
(加藤幹典球団代表)